『『植民地遊廓』の虚実』‐ある凡人の追憶・私見・独白-赤尾覺覚書 レインボー出版 2019.9.05 第2版1刷、2刷 2022年10月31日 59p
第2版には口絵8ページ、咸鏡北道大観図を追加。
北朝鮮側が朝鮮人用売春宿の類を「日本軍慰安所」と、事実ではない発表の大きな原因となった経緯を紹介。
『植民地遊廓』(吉川弘文館)の著者から取材を受けた、この本の著者がなぜ『植民地遊廓』(吉川弘文館)の著者に憤慨しているか、
憲兵(憲兵隊)の位置付け etc. など、『植民地遊廓』のいくつもの誤り、曲解、疑問点を挙げ、警笛を鳴らしている
蛇足:警笛が鳴らされた段階で取るべき行動については『「日本の朝鮮統治」を検証する 1910-1945』草思社 p.27 に。
この本で、『軍隊と性暴力』(現代史料出版 2010)と、その補完関係にあると思える『植民地遊廓』(吉川弘文館 2018)のどちらか、または、両書を所蔵している図書館、所有している研究者にとっては、特に『植民地遊廓』の誤り、曲解、疑問点を知ることができる。
これら両書の著者から取材され、両書に掲載されている(咸鏡北道)會寧市街図、および『植民地遊廓』に掲載の咸興市街図の元を作成提供などしていて『~虚実』の情報源である筆者は、『軍隊と性暴力』が発刊された際にも 會寧の項の 誤り・疑問点20か所ほど を著者に指摘していたが、『植民地遊廓』でも全体の誤り・曲解、疑問点 35か所ほどをこの本で指摘している。
『『植民地遊廓』の虚実』の筆者は會寧からの引揚者で、日本の朝鮮半島統治時代を机上の理論ではなく、皮膚感覚で知っていて、「慰安婦」、性、軍、會寧の街、日本統治の実情などについて、『軍隊と性暴力』、『植民地遊廓』とは知見、深さが大きく違う観点から述べている。 歯に衣着せず書かれていて分かりやすく、両書の著者が、『~虚実』の筆者のところに取材にきた際の話なども紹介。
庶民感覚で見た朝鮮総督府時代の功罪等についても述べている。
参考までに、『~虚実』の筆者は、2012年9月以降開始されたいわゆる「北朝鮮墓参旅行」についても、同行した報道関係者、案内した朝鮮側もまったく気付かなかった墓参案内の欺瞞の数々を『季刊 望郷』12号 レインボー出版 1,650円(税送料込) で指摘もしている。
朝鮮 日本軍性奴隷・強制連行被害者問題対策委員会が、2018年8月に「咸鏡北道慶興に日本軍慰安所があった」と発表、提起したが、事実ではなく、そこは朝鮮人用の売春宿の類だった。そこで、かつて朝鮮国家観光総局日本市場パートナーとして咸鏡南北道のツアーを企画催行、『~虚実』の筆者らと一緒にまわり、筆者も会員である全国清津会元顧問のレインボー出版から発刊にいたったもの。
『軍隊と性暴力』、『植民地遊廓』のどちらか、または、両書を所有している研究者、所蔵している図書館は、どこが、何が指摘されているか、知ってると知らないとでは大きな違い。
朝鮮総督府時代の現地を皮膚感覚で知っていて述べていて、書名は1冊の本、『『植民地遊廓』の虚実』に対してになっているが、慰安婦問題が挺対協(韓国挺身隊問題対策協議会、現・正義連)らのミスリードもあり、今や、勘違い、間違いが絡み合い、魑魅魍魎として訳がわからなくなってきていると指摘するコアな引揚者の方々や学識者がいるなか、お勧めです。
cf. 佐藤翔(図書館情報学)「問題ある論文に基づき研究を始めてしまうと、正しい結果が出ない研究をしていることになる。時間や研究費を浪費することになり問題だ」毎日新聞, 2019.4.30 1面
https://mainichi.jp/articles/20190429/k00/00m/040/119000c
また、これら両書を持ってなくても、いわゆる「慰安婦」問題にちなんだこと、公認制公娼、官許妓生、朝鮮総督府時代などのことについても深く知ることができる。
クライマックスは朝鮮人貰い子のくだりか、ぐぐっとひきこまれる。北朝鮮では朝鮮民族の単一民族といわれるが、在家僧(女真族)のことも記載されている。